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制限を外したら子供はお菓子ばかり食べますか?

ここ数週間で急上昇した質問の種類が、

制限をかけなかったら特に子供はお菓子や甘い物(その子が好きなもの)だけを食べるんじゃないですか?

という質問。

1つ例として紹介しますね。

質問

ありがとうございました。

すごく感銘をうけました。

娘が、ふみさんがおやつは何食べてもいいっていってたからアイスをたーくさん食べる!とうきうきしていました。

身体の声をきいて食事ができるようになるにはもうすこしかかりそうです・・・

ガミガミいわず、制限せず、身体をだいじにする食べ方を感じられるなっていくには、色々トライしてチェックしていけばよいのでしょうか?ほかにアプローチや声かけの仕方はありますか?

子供でも大人でも同じなんだけど、「じゃー○○いっぱい食べる!」の○○って決まって今まで制限されていたり禁止されていたものではないですか?

甘い物、お菓子、スナック、揚げ物とかね。

「じゃーブロッコリーいっぱい食べるー!」ってまずならないでしょう?

これは研究でも裏付けられていますが、私達は大分幼いころ(2-4歳)から既に周りの大人の食べ物や体重・体型に対する考えや偏見をキャッチしています。

だから「これはお砂糖いっぱいだからやめなさい」と言われればもっと欲しいと思うし、「これは太るからやめなさい」と言われればそれを食べるたびに罪悪感がわく。

特定の食べ物を禁止されたり、制限された場合(されないことの方が少ないよね?)、特に子供の頃はそのルールをお家で守ります。

そしてルールが外されたら、一時的にその禁止・制限されていた食べ物を多めに食べることは勿論あります

それは子供も大人も一緒。

大人の場合、そこに「大人買い」とか「ドカ食い」があるかもしれない。

でも幼い子供の場合、大人がする「ドカ食い・無茶食い」のレベルまではいくことはほとんどない。

例えばアイスを3食毎日食べていたら大分高い確率でお腹をこわすでしょう。

それで私達は「良い加減」というものを学びます。

子供は特に大人と比べて痛みや不快感に敏感だから、「あ、ここまで食べたらこれはもう美味しいものじゃなくて痛いものなんだな」と学びます。

注:疾患や体調不良、もしくは摂食障害を伴なっている場合はやめてください。あくまでも健康体であることが条件です。またこれは虐待やネグレクトを推進するものでは一切ありません。親は子供に食べるものを与える義務があります

ただね、「制限しない」っていうのは「食事の代わりにお菓子類を率先して提供する」っていうのとは違う。

幼少期の食事法で著名なEllyn Satterっていう先生がいるんだけど、そこで推進されているのが親子の食事時の責任分担

  • 親は子供の成長に必要な食事を提供する責任がある。

  • 子供はそれを必要な分食べる責任がある。

子供が提供された食事全部を食べなくても、もしもそれでお腹が満たされたなら、子供は責任を果たしたからそこは「最後まで食べなさい」って押す必要はない。

子供が食事を残して代わりに他の食べ物を要求した場合、親は既に足りるであろう食事を提供するっていう責任を果たしたんだから代わりのものを提供する必要はない(次の食事・間食時間まではね)。

これは食事の自立を促す方法で(提案者の名前に基づいて Ellyn Satter法っていうんだけどね)、空腹感・満腹感に伴った量の調節が出来るようにするもの。

そしたら、今から何が出来るでしょう?

  1. 食事は十分に提供する。

  2. おやつの時間やお菓子を食べる時は、それに対してネガティブなコメントを言わない、そして特別扱いをしない

  3. お菓子類をご褒美にしない(例:ご飯全部たべたらデザートあげる。テストで100点とったらケーキ買ってあげる。等)

お菓子とかってね、子供にとっては家族団らんだったり、友達とわいわいする時間だったり、バースデーパーティとかで普段と違う空間にいる経験だったり、何かしら楽しい事・面白い事・興味深い事・気持ちいい事に関連しているもの。

もしかしたら、一人でお留守番する時の寂しさを紛らわせる心の拠り所ってなってることもあるかもしれない。 

だからお菓子を前にしてワクワクウキウキするのは普通。 

大人はその感覚を大事にしてあげて、同時にお菓子があってもなくてもその感覚を味わえるオプション(遊びとか、熱中できる習い事とか、一緒に過ごす時間とか)を提供するのが役割じゃないかな?

Fumi x

文献興味がある人はどうぞ:

Jane E.Gregory, Susan J.Paxton and Anna M.Brozovic. Pressure to eat and restriction are associated with child eating behaviours and maternal concern about child weight, but not child body mass index, in 2- to 4-year-old children. Appetite. 2010;54:550-556. (ISSN 0195-6663, https://doi.org/10.1016/j.appet.2010.02.013)

Liang J, Matheson BE, Rhee KE, Peterson CB, Rydell S, Boutelle KN. Parental control and overconsumption of snack foods in overweight and obese children. Appetite. 2016;100:181-8.

Ellyn Satter 法についてはこちら: https://www.ellynsatterinstitute.org/