摂食障害って何?【3】早期発見&治療について
ダンサーの8人に1人は摂食障害を患っています。
いくら気を付けていても交通事故にあう確率がゼロではないのと同じように、ダンスの世界にいたら摂食障害を患う確率はゼロではありません。
指導者や保護者はもしもの時のために早期発見や治療についての知識を身につけておきましょう。そうしたら、ダンサーの将来も健康もキャリアも守ってあげることが出来ます。
摂食障害って何?【2】リスク要因と予防法
摂食障害は主に食べ方に症状が現れる神経性疾患。
摂食障害はなりたくてなる病気ではありません。
「痩せたいから」なるものでもありません。
バイオ・サイコ・ソーシャルといって、遺伝子、性分・性格(心理的・精神的状態など)、そして環境の3つが複雑に混ざり合って発症するものです。
それを理解した上で、ダンサー自身が自分の身を守るため、そして指導者・家族が大切な生徒・子供を守るためには、どんなことがリスクを上げてしまうのかを知り、予防につなげましょう。
スタジオで生徒の体重を計るべき?
スタジオで体重は計るべきではありません。
すごく正直な話、スタジオで体重を計るということは、大きい(もしくは体重が増えてきている)生徒を咎める・たしなめる目的がありませんか?
「今までもやってきたから」や「私もそうやって教えられたから」とかいう理由は直ちに捨てて、体重測定というものを見直してください。
相対的エネルギー不足(RED-S)
ダンサーの2~3人に1人が陥るのが、相対的エネルギー不足(RED-S)状態です。 これは名前の通り、エネルギーの摂取が消費にマッチしなくなって(下回って)しまうことで、身体の様々な機能に影響を及ぼします。携帯だってバッテリー充電するでしょう?ダンサーの身体も同じです。
RED-Sの予防・改善には、ダンサーの食行動のみならず、レッスン・スケジュールの調整が大きく影響します。ダンサーと指導者、両方が一緒に取り組む課題だということです。
ダンサーの無月経問題を放置しないで
ダンサーも保護者も指導者も、無月経を軽視している人が多い。そして無月経になっているにも関わらず、踊ることを許可する指導者が多い。これが後にダンサーのキャリアを台無しにすることも知らずに・・・。無月経は放置しないで早めに対処しましょう。そうすればダンサーの身体も強くなるし、20代後半で引退を強いられるということも減りますから。
ズーリッヒバレエの問題はバレエ界全体の問題
ダイエットや「痩せることが美」という考えは普通じゃないんです。 だから問題になるんです。 今まで「伝統だから」や「それがバレエだから」という根拠のない理由で痩せを推進してきた業界特有の問題です。
「膝の負担を減らすために」ってダイエットを勧めないで
「膝の負担を減らすためにはやっぱり体重を減らしたほうがいいよ」というアドバイスをよく耳にします。見た目を避難しているわけじゃないし、身体の心配をしているからこそのアドバイスだから問題ない、と思っている人の多いこと!でもね、これ、間違いです。このアドバイスこそケガにつながります。
First, Do No Harmという教え
訳すと、「まず、害を与えてはならない」。
摂食障害予防の観点からいうと、例えば摂食障害高リスクにある人(ダンサー、フィギュアスケーター、ジェンダーダイバース、そしてニューロダイバースな人達など)と接する場合またはその人達に対して情報発信する場合、摂食障害のリスクをこれ以上上げるような情報や言動をしない、ということ。
とても道徳的な教えだからこそ、今の時代に必要だと思いませんか?