摂食障害って何?【3】早期発見&治療について

前回の記事で摂食障害のリスク要因と予防法について話しました。

勿論、予防出来るのが一番ですが、遺伝的要因なども関わってくることなので、全ての摂食障害を完全に予防することは出来ません。

それは、いくら気を付けていても、交通事故に合う確率はゼロじゃないのと同じように。

だから、早期発見&治療について知っておきましょう。

 

摂食障害治療で一番大切なのは、正しい治療をいち早く受けること

昔と違って今は、摂食障害は治る病気だと分かっています。

でも、放っておいたらどんどん慢性化します。

慢性化したら心身共にダメージが募っていって、治りにくくなり、治療は5年も10年も長引くことになります。

 

早期発見:摂食障害のサインを知ろう

摂食障害の症状・徴候

以下は、摂食障害かもしれないサインです。

  • ダイエットを繰り返している

  • ダイエット記事・情報を常にチェックしている

  • 特定の食べ物を避けている(例:炭水化物はとらない;お菓子は食べない;ジュースはダメ、など)

  • 食事関連のルールがある(例:夜7時以降は食べない;絶対に野菜から食べないといけない、など)*

  • 自分または他人の食べ物や食事に対する執着心が強い

  • 人と食べることを避ける

  • 冷え性の発症または悪化

  • 怪我がつづく(特に疲労骨折や痣など)

  • 月経不順、または無月経

  • 怒りっぽい、または気分の浮き沈みが激しい

  • 練習していることが身についていない

  • 集中力の低下(振り付けを間違えることが増える、など)

  • 体調不良の慢性化

  • 怪我をしている、またはオフの日なのに、執拗にトレーニングやランニングなど「カロリーを消費する行動」をしている

  • 体重のアップダウンが著しい

  • 嘔吐を繰り返している場合には、頬や耳の下辺りが腫れる

*誰でも食事の信念みたいなものは持っているけれど、ルールが食べないことや摂取カロリーを減らすことに繋がっている場合は危ない

本人は摂食障害の自覚がないことも珍しくありません。

本人は「摂食障害じゃない」、「私は大丈夫」、「心配いらない」、というかもしれません。

でも、その「大丈夫」をうのみにしてしまったせいで治療が遅れるというケースが後を絶ちません。

少しでも気になることがあったら、DDDのように摂食障害を専門とする管理栄養士や医師、または心理士やカウンセラーに話を聞いてもらいましょう。

 

摂食障害の治療ー機関

摂食障害の治療は、その重症度によって受ける場所が変ってきます。

  • 重度の場合=病院(メディカルリスクの高い場合や自殺願望(極度の栄養失調はうつ状態や自殺願望を引き起こします)などが強い場合には入院しないといけません)

  • その他=クリニック(病院の外来、または個人の専門クリニックを受診します)

DDDは、後者のクリニックです。

病院からの紹介で来る方もいれば、バレエ学校の先生の紹介で来る方もいるし、グーグルで検索して来る方もいます(紹介無しでも治療は受けられます)。

残念ながら日本では拒食症’(重度)の入院治療は受けられる場所が増えたけど、その他(特に過食症や過食障害)の専門的な治療を提供しているクリニックや病院がすごく少ない。

そのギャップを埋めるため、日本の患者さんには、ビデオ電話で治療(食事カウンセリング)を提供させていただいています。

 

摂食障害の治療ー種類

摂食障害の治療には、

  1. 管理栄養士による食事療法(食事のカウンセリング

  2. 臨床心理士による心のカウンセリング

  3. 医師によるメディカル・ケア(身体的または精神的合併症などがある場合や、投薬治療が必要な場合などは勿論のこと、治療を安全に続けていくために血液検査などを定期的に行うことが推進されています)

この3つがあります。

治療を成功させるためには、これら全てが揃っている必要があります。

カウンセリングって具体的にどんなことをするの?

治療の目的は、栄養状態を回復することと、心身共に健康になることです。そのためには、

  • 体重・体型に対する考えを柔軟にする

  • ボディイメージを高める

  • 食事や食べ物に対する考えを柔軟にする

  • ダイエットで問題解決をしようとするのではなく、より生産的でサステナブルな行動・思考を取り入れる

  • 自尊心を高める

  • コーピングスキルの種類を増やしていく

  • 過去にトラウマがある場合(ない患者さんの方が少ないですよ)、それを消化し、乗り越える

など、カウンセリングでじっくりと乗り越えていくことが沢山あります。

食事療法で栄養状態(拒食症の場合は体重と臓器の回復も必要)などのフィジカルな回復を得ながら、心理士と根深い問題を解決していく。 これが治療のゴールデンルール。

チームワークが不可欠なわけです。

大人と子供では治療は違う?

子供や思春期の拒食症の場合には、家族療法 (FBT (Family Based Treatment))が行われる場合もあります。

これは、心理士や栄養士の指導の元、患者さんの両親が家で食事療法を行うというものです。

大人の場合、さらに自立性を重視した、CBT(認知行動療法)をベースにした治療法が主になります。ACT(アクセプタンス・コミットメント療法)やDBT(弁証法的行動療法)などを取り入れたものがあります。

治療期間はどのくらい?

治療期間はケースバイケースで異なりますが、ほとんどの場合、摂食障害を患っていた期間と関係します。

早くに治療を始めれば、6か月―12ヵ月という短期間で治るチャンスが大きい。 

でも数年経ってから始めた場合、治療も数年かかることがほとんど。

だから、早期介入が大切なんです。

 「ただのダイエットだと思って放っておいた」って、指導者や家族の方からよく聞きます。

 「治療を受ける勇気がなかなか出なかった」というのも、本人からよく聞きます。

 おかしいな、と思うことがあったら、すぐに相談してください。

 

摂食障害は治る?

治ります。

信頼できるチームの元で正しい治療を受ければ、治ります。

だから放っておかないで。

Fumi x

バレエ指導者、保護者、トレーナーであれば摂食障害について知っていなければいけません。何か起こってからでは遅いのです。

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2023年4月23日(日)13:00-14:30

2020年に大変好評だったオンライン講座、【家族ができる神経性やせ症の食事支援】の一番良い部分だけをそろえた90分ダイジェスト版を来月開催します。

「摂食障害を抱える人はどのように病気を体験しているのか」「病気や回復について、家族はどのように患者と話せばいいのか」「家族ができる食事場面の工夫にはどのようなものがあるか」という、ご家族が最も知りたい3つのポイントについてお話しします。さらに、摂食障害を経験し回復した患者本人や家族にご協力をいただき、体験談をお話しいただきます。

以下に当てはまる場合、是非ご参加ください

  • 摂食障害のお子さんをもつ親御さん

  • 摂食障害の生徒のリカバリーをサポートしたい指導者の方

  • 患者さんをより理解したいと思う摂食障害治療者の方

参加費:3000円

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