摂食障害って何?【2】リスク要因と予防法
前回の記事で摂食障害の種類と影響を学んだところで、今回はダンサーの摂食障害リスクを高める要因と、それらの予防法について知っていきましょう。
知れば早期発見が出来るし、予防法を積極的に取り入れることで、ダンサーのキャリアも健康も守れます。
摂食障害は主に食べ方に症状が現れる神経性疾患。
摂食障害はなりたくてなる病気ではありません。
「痩せたいから」なるものでもありません。
バイオ・サイコ・ソーシャルといって、遺伝子、性分・性格(心理的・精神的状態など)、そして環境の3つが複雑に混ざり合って発症するものです。
それを理解した上で、ダンサー自身が自分の身を守るため、そして指導者・家族が大切な生徒・子供を守るためには、どんなことがリスクを上げてしまうのかを知り、予防につなげましょう。
ダンサーの摂食障害リスクを上げる要因
ダイエット(特に慢性的なもの)
トラウマ的な経験や過去(性的虐待や、パワハラのような心理的なもの、そして学校やお稽古事でのいじめなど)
痩せればパフォーマンスが向上するという考えや教え
ボディイメージが低い
自己肯定感が低い
指導者や家族が常にダンサーの外見(痩せた・太った)についてコメントしている
心配性
完璧主義な性格
リスク要因を予防しよう
上記のリスク要因のほとんどは、対策が出来ます。
ダイエット:
自分やスタジオが日頃からダイエットを推進しないようにしましょう。
頭ごなしに「ダイエットしたらダメ」というよりは、「どうしてダイエットしたいと思うんだろう?」「その先に何を求めているんだろう?」と探求心を持って接することで、ダンサーが自分自身を見つめ直すきっかけにもなります。
詳しくは「痩せたいの裏にあるもの」や「ダイエットしない!じゃあ何したらいいの?」参照。
トラウマ的な経験や過去
スタジオ内で起こり得るトラウマには、ボディ・シェイミング(外見についてネガティブなコメントをすること)や体重測定があります。
ここにも書いてある通り、体重測定は直ちにやめるべきです。
外見に対するコメント:
よく誤解されるのが、ネガティブなコメントでなければ大丈夫、という考え。これ、実はそうでもないのです。ネガティブなコメントは勿論、直ちにやめるべきです。
日頃から外見だけを褒められているダンサーも、摂食障害に陥りやすい傾向があります。これは、「この外見を維持しないと褒められなくなる・認められなくなる」という考えを植え付けてしまうからです。外見を褒める傾向が多い場合は、内面にも目を向けてダンサーの行動や中身を褒めるように努めましょう。外見を一切褒めたらいけないというわけではなく、バランスが大切なのです。
褒め言葉として「痩せたね」というのも同様です。詳しくはこちらを参照。
痩せればパフォーマンスが向上するという考えや教え:
ダンサーには日頃から、十分な栄養と休養そして正しいトレーニングがパフォーマンスを向上させるということを教えましょう。
痩せればパフォーマンスが向上するという科学的根拠は何もありません(詳しくは「ロードとキャパシティの不均衡」参照)
ボディイメージと自己肯定感:
日頃から見た目ではなくダンサー個々の個性や行動を褒めるようにしましょう。
詳しくは「ボディイメージ向上法」参照。
心配性・完璧主義:
摂食障害になりやすい性格・性分は、ダンサーに適した性格・性分であることも多いです。そのため、「こういう性格はダメ」ではなく、「自分の性格の長所と短所を知ろう」という風にアプローチすると良いでしょう。
スマホやタブレットの音量調節をするように、例えば完璧主義を少しトーンダウンするというイメージを持つのも有効です。
摂食障害はココロもカラダも蝕まれる怖い病気です。
でも、それに目を背けず、正しい情報とスキルを得れば、予防が出来ます。
次回は、早期発見につなげるために知っておくべき症状・兆候について。
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