過食の起因は制限にある
過食性障害という摂食障害があります。
これは非常に大量の食べものを食べる行為(過食)をその最中や事後に自制を失っていると感じながら何度も繰り返すことを特徴とする 摂食障害です(MSDマニュアルより)。
この過食と、「つい食べ過ぎちゃった」は別物です。
「つい食べ過ぎちゃった」は自分の意志があってそうしたのに対して、過食は自分の意志とは裏腹にコントロールがきかない食べ方だから。
「あー、お腹いっぱいだー、苦しいー」で終わるのが『食べすぎ』で、お腹が痛くなるもしくは気持ち悪くなるまで食べるのが止まらなくてその後極度の罪悪感や羞恥心が襲ってくるのが過食です。
過食をしている人は「恥ずかしい」とか「みっともない」という思いから、周りに相談するのを躊躇うため、1人で抱え込んでいることも多い。
でもね、
過食は意志の弱さから来るものではないんです。
根本的な問題があって起こるもので、それに対処するスキルを身につければ治せます。
過食が起こる根本的な理由2つ
【1】ダイエットをしている
人間の体は飢餓に対する防御システムがとてつもなくしっかりしています。ダイエット中は総体的なエネルギーもしくは特定の栄養素(炭水化物とかね)が足りなくなります。
これが続くと飢餓状態になり生存率に悪影響が出るため、体内でグレリンというホルモンが分泌されます。通称『空腹ホルモン』のグレリンは、「早くエネルギーをとれー」というメッセージを出します。
ここのポイントは「早く」というところ。 早く体に吸収されるものはタンパク質でも脂肪でも食物繊維でもなく、糖分。
だから甘いものに手がのびるんです。
ちなみに飢餓状態を回避しようとしている身体のグレリン分泌量は普段の「お腹すいた」レベルとは異なるので、『ちょっと食べたいな』ではなく『無性に食べたい!』という衝動を感じます。
過食を患っている人で、「サラダを過食してしまうんです」という人はまずいない
(あったとしても、そういう人は過食性障害(BED)ではなく、ARFIDという摂食障害であることがほとんど) 。
どうしてだと思いますか?
それはね、食事制限をする時に、野菜やサラダを制限する人はいないからです。
身体的な制限も、思考的な制限も、糖分糖分・炭水化物・脂質に集中するからです。
過食は制限をするから起るもので、意志の弱さとは関係ありません。
【2】ストレスに対するコーピングスキルの欠如
過食で悩んでいる人のほとんどが、ストレスが貯まると過食に走るといいます。
これは、食べること以外のコーピングスキルが発達していないから。
コーピングスキルはストレスに対処するスキルのことで、これが発達している人はストレスに強いんです。
ちなみに、
ストレスに強い=適切に対処して自分への悪影響を最小限に抑えることができるということで、
ストレスに強い=ストレスを感じない、ではありません。
コーピングスキルが「食べること」だけの場合、本人はストレスに直面した時に選択肢がない状態。
でも「食べること」以外にも数種類の別のコーピングスキルがあれば、本人はストレスに直面した時にどのコーピングスキルを使うか選択肢がある。
この『選択肢がある』というのが大きいんです。
過食はどうしたら治せる?
根本的な理由があることが分かった上で、次は対処法を見ていきましょう。
【1】のダイエットや制限に対する解決策は、十分な食事をとることです。過去記事を参考にしてくださいね。
更に詳しく、ボディイメージ向上についても同時に学びたい場合は、DDDのオンラインワークショップをご参照ください。
【2】のストレスとコーピングスキルに関する過去記事はこちらがお勧めです:
言葉の影響力(3シリーズあるので、続けて読むのが良し)
補足:過食で悩んでいる人の大半は制限が大きな起因となっています。ですが、例えばADHDだと刺激を求めて過食行動に走るということも珍しくなく、これは制限があるなしに関わらず起こることもあります。このような場合の改善法はまた今度、記事にしますね。
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