DDD Centre for Recovery

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スタジオで生徒の体重を計るべき?

答えはNO。

未だに体重測定を行っているスタジオやスクールがあります。

残念ながらそのほとんどが、体重測定の危険性を知らずに「今までもやってきたから」や「私もそうやって教えられたから」を理由に続けているところがほとんど。

そこの指導者・スタッフはどれだけRED-Sや摂食障害の専門的なトレーニングを受けているのでしょう?

その体重測定が摂食障害の引き金になることは考えていない?

そうなった場合、スタジオ・スクールはどうやって責任をとる?治療にどれだけ貢献できる?

そもそも、何で計っているの?そのデータは、どのように利用しているの?

体重測定が摂食障害の引き金になる理由

これは、体重を計った途端に摂食障害になる、という訳ではありません。

でも、摂食障害にならない方が難しいというくらい、体重測定のやり方っていうのはネガティブなものなのです。

体重を周りと比べる

この比較は常に「誰が一番軽いか」ということに焦点を置きます。そのため、完璧主義な子や負けず嫌いな子、そして「優等生ちゃん」は、その一番軽い子の数字を下回るように行動してしまいます。

衣装を理由に痩せなさいと言う

痩せる理由を美から衣装にかえたところで、低エネルギー状態によって引き起こされるダメージは同じです。

衣装を理由にしたら正当化されるとでも思っているのか、と思ってしまうくらい、平気な顔で「衣装衣装が入らないから痩せてね」という指導者は、生徒が摂食障害になって骨がボロボロになって踊れなくなってもいいのでしょうか?良くないでしょう?

摂食障害になる子は周りに迷惑をかけたくないと思っている責任感の強い子が多い。だからこそ、「先生に迷惑をかけないように」や「親に恥をかかせないように」と、ダイエットに走ります。

世間一般の痩せ理想

スタジオ・スクールで一切痩せを崇拝・理想化することがなかったとしても(素晴らしい!)、それでも体重測定は危ない。

なぜかというと、生徒はスタジオ・スクール以外の生活があるから。そしてその外の生活(私達を取り囲む世間一般)では、痩せを理想化していることがとても多い。その世間の理想と自分の体重を比べてしまって、自分の体重が軽ければ「もっと頑張ってこれを維持しないと」となり、重ければ「がんばって痩せなきゃ」」となる。

体重計の数値が映し出すものは何?

そもそも、体重を計ることで何が得られるのでしょう?

体重が減ったか増えたかがわかりますよね。

体重計と、それに乗っているもの(この場合人間ね)の間に存在する引力によって、○○キロっていう数字が表示されるから。

そしたら、体重計に記される数字、もしくはその数字が変ることで、生徒の良し悪しがわかる?

・・・そんなわけない。

子供でも大人でも、体重・体型についてコメントされればされるほど、無理なダイエットに走ります。

そのコメントに悪意があろうがなかろうが関係ありません。

スタジオで体重を計る目的

すごく正直な話、スタジオで体重を計るっていうことは、大きい(もしくは体重が増えてきている)生徒を咎める・たしなめる目的がありませんか

(ダンサーが無理な減量をしないように、って体重を計っているスクール・バレエ団は残念ながらとっても少ないです)

「大きい・太い・重いダンサーを見つけて減量させよう」

っていう目的のもと、実施されているのがほとんど。


これ、どう思いますか?

言葉にして書くと、どれだけエゴイスティックな考えかがわかります。

このような体重測定はお教室にとってもマイナスなものしか生みません。

なんでかというと、生徒が体重を気にしてダイエットに走った場合、とても高い確率でその生徒の月経は乱れるし、骨密度にも影響がいって骨折などのケガが増えます

また、体重・体型をコントロールすることを目的としたダイエットというのは9割以上の割合でリバウンドを起こします

これは、体の安全機能が働くから。

ダイエットを繰り返せば繰り返すほど、代謝の悪い体になっていきます

これもまた、体の安全機能が働くため。

そして、ダイエットを繰り返せば繰り返すほど、食生活の質が落ちます

これは、ダイエット中に発信された「制限しよう」という意識と行動が、過食または拒食を増長させるから。

どっちの傾向に向くかっていうのは性分や遺伝子によって変わってきます。

このような状況に生徒を追い込むことは、お教室にとってどうなのでしょう?

私が親だったらそんなスタジオに自分の子供を通わせたいとは思いません。

安全な体重測定の方法はある?

絶対に安全な方法はないです。それは、バレエ界も世間一般もまだ痩せを理想としているから。

では、絶対に体重は計ってはいけないのかというと、条件付きであれば少し安全にできます。

ダンサーの体重を計るべき理由

唯一、ダンサーの体重を計るべきなのは、体重が落ちないようにするため、そしてRED-Sを防ぐためです。

それ以外の理由で計るのは絶対に禁止です。

そして、以下のことを必ず守ってください:

  1. プライバシーを守る。計るなら個室などで絶対に周りに知られないようにする。

  2. 体重を見る・見ない(知る・知らない)は生徒の権利で、生徒が選ぶ。生徒が知りたくないというならば、教える必要はありません。

  3. 体重関連のことで褒めない。減ろうが増えようが、コメントはいりません。

  4. 体重が増えたことによる罰を与えない。パドドゥ禁止とか、もってのほかです。

  5. 体重が落ちたら、まずは体重が回復出来るように、レッスンを調節(時間を減らす、またはロードの少ないものだけにする、など)する。これは、RED-Sを防ぐためです。レッスンを調節しないのであれば、そもそも体重測定の意味がないので、直ちにやめましょう。

体重が減ってしまったから、戻るまではレッスン量を調節してRED-Sを防ぎましょう、という方針でやっていない限り、体重測定はダンサーのためにもスタジオ・スクールのためにもなりません。

ここまで読んでもまだ、「でも太っている生徒は痩せるように指導するのが指導者の役目でしょう」と思うのであれば、

それはあなたの偏見です

それはもう、自分の問題。

自分が「太っているダンサーは好きじゃない」と思うなら、それは自分で処理しないといけない感情であって、生徒・ダンサーに押し付けていいものではありません。

体重測定を通して生徒を辱めるべきではありません。

バレエ教師は、ダンサーを育てるとても尊い仕事だと思う。

そんな素晴らしい職なのだから、出来る限り生徒の未来を広げてあげたいと思いませんか?

スタジオで体重を計らないということで生徒の健康をサポート出来るんだから、これはすごくポジティブなことではないでしょうか。

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